アニメ「セイレン」の期待と実際
今期一の期待アニメ、セイレンの前半戦が終了しました。僕がこのアニメにいかに期待していたかは下の記事を読んでください。
上の通り、僕は「これぞ学園恋愛アニメ!ブラボー!これが観たかったんだ!」という、ありがちな設定でありがちなストーリー展開でありながらも予想を上回る描写によって観客の期待に応えるアニメが観たかったわけです。それを踏まえて、以下で具体的に見ていきましょう。もちろんネタバレです。
ストーリー毎の感想
常木耀ルート
まずは最大の戦犯である常木耀ルート(1話~4話)から。
我々の期待していたもの
常木耀(つねき ひかり)|TBSテレビ:「セイレン」 公式ホームページ
常木耀は「学園のアイドル、強気で見栄っ張り」という設定ですね。あるあるな感じですよ。こういう設定で来たら、
常木耀は学園のアイドル!主人公とはあまり関わりない→あることをきっかけに(秘密の共有etc)常木耀が主人公に何かとちょっかい出してくる→強気で見栄っ張りな性格が災いして常木耀にトラブル発生、主人公が解決→キスしてハッピーエンド
を期待するじゃないですか!え、しない?するでしょ!もちろんこの話の流れは全て学園内で行われるべきです。なぜなら常木耀は学園のアイドルなんですから。何かとちょっかいを出されて周りに羨ましがられる主人公、といった描写によって常木耀という人柄を良く描きだすことができるはずです。設定は存分に活かされなければいけません。これ、重要ですよ。
実際に描かれたもの
こいつらなんで合宿行ってんの?!(1話後半~3話)
学園のアイドルとはなんだったのか。。我々はセイレンに学園生活を期待しています。断じて高校生が私服で勉強合宿に行くのを見たいわけじゃないんです。あと、実際見ながら思ったのですが、やはり学校校舎や制服というのは一種の空間効果を視聴者に作用させるのではないでしょうか。もう決して手に入らない視聴者の望郷の念が場面をより良く彩るのです。そういう意味でも合宿にあそこまで尺を使ったのは失敗だったでしょう。これは強く主張します。
俺たちの戦いはまだまだこれからだエンドじゃないですかー!
俺は誰もが羨むハッピーエンドを期待していたんです。まあ物語としては一つの結論としてアリといえばアリな気はします。アリな気はするんだけどなあ...賛否両論でしょうね。
そんなわけで完全に期待を裏切ってくれました。う〜ん、出会いの物語としてはアリなのか?いや、無しっすね。
ここらへんの場面描写は良かったです。脚本はともかく、セイレンの描写に可能性を強く感じました。
宮前透ルート
なんか違うな違うなと思いながらいつのまにか過ぎていった宮前ルート(5話~8話)。
我々の期待していたもの
宮前透(みやまえとおる)|TBSテレビ:「セイレン」 公式ホームページ
ゲーム好きで趣味が合わないとなかなか話せない美人でクールな先輩。こうきたら、
主人公はちょっと怖いけど美人な先輩が気になる...あまり相手にされない(?)→ある日主人公がよく知ってるゲームをしているのを見かける→話しかけるとゲームについては意外に話せる、口下手なだけと判明、徐々に仲良く→ゲーム以外には口下手なことが災いしてトラブル発生→ゲーム外でも主人公が必要なことに気がつきフォーリンラブ→キスしてハッピーエンド
こうでしょ!
実際に描かれたもの
姫プレイやめーや!
なんで口下手なのに自分から話しかけて、男三人と一緒にカラオケボックス行くんすかね。ゲームのことなら大丈夫とはいえちょっと姫すぎないですかね。クールな感じの設定どこいったの。
ゲームのしすぎでトラブル発生か〜...
まあいいけど。
最終話でよくわからない立ち位置のコミケか〜...
まあいいけど。。。
常木ルートは期待を裏切りまくっていた感じですが、「あ、そっちか...」のように予想を脱線しまくっていたのが宮前ルートでしたね。別に凄い悪いとかじゃないですけど、良いとは言えませんね。本当に最後のコミケは何をしたかったんだろうか。
ここらへんの場面描写は良かったです。ただ心情を表現するのに色をもっとうまく使えた気もしますが。
桃乃今日子ルート
ここまで散々こき下ろしてきましたが、今日子ルート(9話~12話)は神でした。
我々の期待していたもの
桃乃今日子(とうのきょうこ)|TBSテレビ:「セイレン」 公式ホームページ
幼馴染モノの王道といえば、
主人公と仲の良い幼なじみ→徐々に意識し始める→トラブル発生で少し仲違い→それぞれにとっての幼なじみ、主人公とはなんなのかを考える→トラブルは解決してお互いの気持ちをはっきりと知る→キスしてハッピーエンド
これだわ(確信)。 まして今回は幼く見えるという設定付きなので、そこらへんを上手いこと組み合わせて話を展開していけば、かなり良いスパイスになるのではないでしょうか。脚本もここまでお膳立てしてこのストーリー展開を大きく裏切ることはまあないだろうなと踏んでいたので、常木ルートの様子を見ながらこの話の作り方だと今日子ルートには大きく期待できるだろうと思っていました。
実際に描かれたもの
鏡の前で主人公に高校生らしく見られるよう工夫する今日子
駆け出しはとても良かったです。漫画を共有したり、一緒にパンケーキを食べに行ったりする仲の良さの描写。これぞ幼なじみですね。そして、主人公は主人公で隣のお姉さんと言われてむっとしてたくさんパンケーキを食べたり、今日子は今日子で高校生に見えないことを気にして家の鏡の前で髪を上げたりしてみる仕草。お互いにそれぞれ一歩成長しようとしている姿です。これをきっかけに今日子は家庭部に入ります。
その後はまだまだ仲の良い描写が続きます。ここまでは予想通り、というかそれより良いかも!
クリスマスにパンケーキを誘うも断られる正一
主人公は自分の気持ちに気づき前に進もうとしますが、今日子はあまり整理がついていません。ここでちょっと気持ちにズレができます。今日子はむりやり主人公を隣のお姉さんに当てはめてみたりしますが、無理な話ですね。
はっきりした正一に心を決める今日子
はっきりと好きと伝えてくる主人公に今日子も心を決めます。今日子は昔をいろいろと振り返りながら懐かしみ、そして今へと意味付けする。これは幼なじみを幼なじみたらしめる最強の技です。最高のシーンでした。
キスをしてハッピーエンド
いや〜今日子ルートはマジで期待通りだったどころか、それを上回る出来でした。なぜこれを常木ルートで出来なかったんでしょうかね。文句のつけようがないです。宮前ルートまで散々言ってきましたが今日子ルートはとても良かったです。
EDも良かったですね。最高でした。
全体を通して
常木ルート、宮前ルートについては全く期待はずれでした。一方で今日子ルートは期待以上でとても良かったです。ここまで違うとセイレンというアニメ全体としては評価はつけにくいです。とりあえず後半の三人に期待しています。早く放送してください。
僕はセイレンをノスタルジアな感覚を通して見ている、と前の記事で述べました。僕は放送を見ているときはそんなにそれを感じていなかったのですが、先ほど常木ルートの合宿について書いているうちに自覚しました。もう無意識だったんでしょう。
もしかしたらセイレンを見ているときの自分は高校生に戻っているのかもしれません。いろいろ考えてみたいですね。
Why do we feel nostalgia? - Clay Routledge - YouTube
三条るいせちゃん、頼むで。。